ショートショート小説の作り方(本文編)

読んでくださってありがとうございます。
ショートショート小説メイキングっていうかもう、創作について好き勝手に話してるやつです。

今回はストーリーのまとめ方と文の書き方について触れていこうと思います。
書くまでの準備については、準備編にまとめています。

文の書き方の方は、割と小難しい話をしているので、お暇な時にでも読んでいただけたら嬉しいです。ショートショートの作りかたって言ってるくせに、あんまりショートショート関係ないです。

ストーリーのまとめ方

ストーリーの上手なまとめ方、私も知らんわって話なんですが、とりあえず私が普段意識していることをまとめて見ようと思います。

準備編でもちらっと出てきた、「謎」の話です。

「謎」を作る

小説に限らず、別に読まなくてもいい文章を最後まで読んでもらうためには、「続きが気になる!」と思ってもらう必要があります。

そのために読者に提示するのが、「謎」です。

つまり、「今こんなことが起きちゃってるんですけど、この後どうなるか気になりませんか?」っていう、ストーリーの核になる内容ですね。

例えば、こんな感じ。

「も、もう一回!」
 そう言ってわたしが跳ね起きると、もとくんは呆れた声でえーと言った。銀縁眼鏡のつるをいじって、めんどくさそうに顔をしかめる。
「いい加減あきらめたら?」
「あきらめません。もとくんが付き合ってくれるって言ったんだから! はい! もう一回!」

準備編でも出てきたやつでごめんね!わかりやすかったもんだから!
ふたりの間にファンファーレの冒頭です。
ここで私が提示してる「謎」は、「こいつら何やってんだろう」です。このくらい単純で大丈夫。
むしろ、一言で説明できるくらい単純な方が良いです。

複雑な「謎」を提示するには説明が必要です。
その間、そんなに続きが気になってない状態で読み進めなきゃいけないので、大体説明の間に飽きます。

だから、ぱぱっと状況を理解してもらえるくらいの、簡単な謎が一番扱いやすいです。

ちなみに、様々な人の思惑が絡み合った複雑な謎も、単純な謎の集合体になっていることが多いです。
ショートショートでは紙幅が足りませんが、長編を書くときのために、好きな物語の「謎」を分析してみるのも面白くて勉強になるのでお勧めです。

書く人に取っての「謎」

「謎」をはっきりさせておくことは、書く人にとってもメリットがあります。
話が脱線しにくく、終わり時が分かりやすくなるんです。

たとえば、「主人公大変!どうなっちゃうのー?!」というのを「謎」とした場合、主人公がどうなっちゃうか、を物語の中心にするのが自然ですよね。

特にショートショートはスタートから結末までが短いので、あまり主題から外れると収拾がつきません。
また、読み終わった後の印象がラストシーンに左右されがちなので、ラストがぐだぐだだと最終的に何の話だったんだろう、となりがちです。
「謎」が解決したところで一言くらい入れて終わると、終わり方が綺麗かなと思います。

ちなみに、「謎」は途中で追加しても大丈夫です。
上で例に挙げた二人の間にファンファーレでは、途中で「何をしているか」が分かり、「じゃあなんでそんなことをしているのか」に謎が切り替わっています。
やり過ぎるとやっぱり収集がつかなくなりますが、ショートショートでも、ひとつの話に3つくらいまでは謎を入れても良いんじゃないかなと思っています。あくまで目安ですが。

ちなみに、単純な謎を次から次へ展開させると疾走感が出るとか、読んだ後マイナスな気持ちで終わってほしい時(ホラーとかイヤミスとか)では謎を完全に回収しきらないまま終わる方が良いとか、謎に関してはもういくらでも話せるんですが、長くなりすぎるので次、文の作り方に行きますね!

文を作る

正しい日本語を使う

何当たり前のこと言ってんだ貴様って感じですが、真面目に言っています。
正しい日本語を使った方が良いです。

例えば、次のような場合。

朱里はひとり突っ立ったまま、地面をじっと見つめたり、空を見上げた。

これ、すごく違和感を感じる人とそうでもない人がいると思います。
「~たり」という表現って、本当は「○○したり××したり」という風に、「~たり」を2回繰り返すのが正しい使い方です。

ここが間違っていたからといって、表現が正確に伝わらないことはありません。
ただ、「~たり」は繰り返すものと知っている人は、最初の「~たり」を読んだ時点で2回目の「~たり」を待ってしまうので、来ないまま終わると肩すかしを食らいます。

正しい文は気にならないけど、間違っている文は印象に残ります。
ショートショートは短いので、最終的な印象が、ちょっと日本語変だったな、になっちゃったら絶対嫌じゃないですか。

もちろん、テンポを崩したい場合や、一人称で書いていて主人公の知識レベル的に間違えた方が自然な場合なんかには、あえて間違えるのもアリだと思います。

まあ、全部正しい言葉を使うなんて多分無理なんですが、できるだけ正しい日本語を使っていきたいなぁと思っています。

情報を書き切る

小説の場合、文として書いたこと以外は全て読者が想像で補います。
つまり、書き手が説明しなきゃ性別も年齢も外見も、もっと言うと登場人物が立っていたか座っていたかすら何も伝わらないということです。

そりゃそうでしょって感じだと思うんですけど、これって想像以上に大変なことです。
例を出します。

降り続く雨が、アスファルトを静かに濡らしていた。
傘の柄を握りしめて、朱里は空を仰ぐ。灰色の雲は薄く、この時期の雨雲にしては勢いがない。
ぼんやりと空を眺め続ける朱里の腕を、誰かが掴んだ。
「何してんの。そんなに濡れて」
「いえ、ただ」
朱里は暗い目で彼女を見る。
「雨が、降っているなと、思いまして」

多分、「なんで傘持ってんのに濡れてんだよ」と思ったんじゃないでしょうか。
これは書き手の設定が、「傘を持ってるのに何故か差さずに雨の中突っ立ってるシーン」だからですね。
でも、そんなこと書かなきゃ全然伝わらないんですよね。

人の数だけ「常識」があって、それに従って物語を読みます。
いくら長話してても道ばたでは座らないでしょ、と言う人がいれば、立ったまま長話するの疲れるから道ばたでも座るでしょ、と言う人も多分います。
性格によっても、生まれ育った場所によっても違います。同じ日本に住んでいたって、「普通」の形って本当に人それぞれです。

だから、十分に説明しないまま書き進めると、「えっ、こいつら座ってたんだ」みたいな、物語とは全然関係ない小さな驚きが生まれます。
少しだけなら問題ないですが、あまりに多いと主題に集中しづらくなるので、出来れば少なくしたいですね。
例で出した「傘をさしていない」説明だったら、例えば最初の方で「雨に濡れていた」と書けば足ります。しかも外にいることも分かります。すごい。

テンポを操る

文を書く上で、私が一番大切にしているのは「テンポ」です。

テンポを大切にする理由として一番に思いつくのは読みやすさじゃないかと思います。
ただ、私はどちらかというと「小説内の時間経過」をコントロールすることと、「印象に残す情報を決める」ことに重点を置いています。

小説内の時間経過

漫画の場合って、ぱっと見で情景が分かりますよね。
見て情景を把握→台詞を読む、の流れで読み進めていくので、会話シーンでも読んでいる間に経過する時間が漫画の中で経過している時間と大体一緒です。

対して小説は、読んでもらわないと何も伝わりません。
普通、絵を見て理解するより地の文を読む方が時間がかかるので、情景を理解する→台詞を読むの流れの間に、漫画に比べて余計に時間が必要です。
つまり、読んでいる人の体感時間の方が、小説内で経過している時間より長くなります。

この時間のずれって、テンポが悪かったり文が分かりづらかったりすると、どんどん大きくなっていきます。
そうすると、読んでいる人の体感時間の割にストーリーが進みません。飽きます。
だから、このずれを最小限にするためにテンポの良い文を心がけています。

テンポの話から少しそれますが、逆に登場人物たちが黙々と作業しているシーンなんかを一文で終わらせてしまうと、小説内よりあまりに時間が早く進んでしまいます。
漫画やアニメで言う暗転みたいな雰囲気ですね。
これを防ぐために、状況の整理や主人公の独白を差し込んで地の文を引き延ばすこともあります。

私、この時間調整の作業がかなり好きなんですよね。文の書き方でも色々工夫できて、すごく楽しいです。以上余談でした。

印象に残す情報を決める

これってテンポの話と関係あんの?って感じだと思うんですけど、聞いてください。
テンポの良い文って、引っかかりなく程よいペースで読める、つまり読みやすい文です。
で、読みやすいだけの文ってそんなに印象に残らないんですよね。

もちろん、全体的に綺麗な描写だったと思うことはありますし、読みやすいけど印象に残る文はあります。でもそんなん狙ってうまく書くのめちゃくちゃ大変なんですよ。

でも、テンポが良い中、急にテンポがずれた文が出てくると、一瞬引っかかります。つまり、印象に残りやすくなります。
多用するとただの読みづらい文になってしまうので、ショートショートではあんまり使えないんですけど、それでも十分意味があるなと思っています。

普段私が使っている方法は主に4つです。

•   読点(、)の位置をずらす(いっぱい入れるとか)
•   文語表現の中に、口語表現を入れる
•   体言止め(名詞で終わる文)を使う
•   やたらと韻を踏む

最後の韻を踏むやつ、私もどう説明していいか分からないんですが、こういうやつです。
これは全部読点ですが、短い文をいくつもつなげることもあります。

 ジェットコースターの骨組みが、オレンジに染まっている。
 ぐるぐる回る飛行機も、サーカスのテントみたいなボールプールも、何かのポールも、雲も、木も、地面も、遠くに見える山も、全部が夕日の色だった。引き延ばされた乗り物の形の影だけが、ぼんやりと黒い。

これに関しては、どの文が印象に残ると言うわけではないんですが、加速感があって異界に迷い込んだ感が出しやすいので、ファンタジーの導入とかホラーのラストとかに使ってます。
これはS(すこし)F(ふしぎ)の導入です。

結びに

自分でも引くほど長い文になってしまったんですが、ここまでお付き合いいただきありがとうございます!
全ての文の最後に「※個人の感想です」って付けたい気持ちでいっぱいですが、我慢して、ここで終わりたいと思います。

何か質問があればコメントでもマシュマロでもお好きに投げてください。
あと、間違ってるよって指摘があれば可及的速やかにお願いします。私がこれ以上恥をさらす前に。

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