コンテンツへスキップ →

カテゴリー: 小説

ねえ、先生

テキストデータ紛失のため、PDFで再掲します!見づらくて申し訳ないです。

コメントする

おばあちゃんの幻の話

 窓の外が眩しい。 映写機のようにぱらぱらと流れていく田畑と、たまに現れる大きな道路。どれも日差しを受けて目に痛いくらいに眩しく、対照的に車内は薄暗く冷たい。 途中の新幹線は死ぬほど混んでいたけど、こんな田舎まで来るとお盆でもがらがらだった。見える範囲には、小さな女の子が一人、リ…

コメントする

ネオンピンクの朝焼けを

 絵の具をたっぷりつけた筆がキャンバスの上を走る。迷いなくピンクの軌跡を残し、またパレットの上に舞い戻る。 先輩は、僕のことなんて忘れたように、ただ黙々と筆を操っている。僕はその手元を目で追いながら、部屋の隅でじっと息を殺す。 燃えるように赤い森、海のように青い家々、金色に輝くコ…

コメントする

憐憫

 ようやっと遺品の整理が終わった日の、黄昏時のことでした。 チャイムが鳴って玄関を開けると、彼女は夕日を避けるように、木陰にうずくまっておりました。真っ白な長髪に、喪服のような黒いワンピース。年の頃は十二、三でしょうか。知らない娘でした。 「……死神ですか?」  私が思わずそう聞…

コメントする